「はらから」とは…
JUGEMテーマ:皇室
よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ

昨日、明治天皇の御陵である伏見桃山陵国柱会の方々と参拝した。国柱会の創設者・田中智学は明治天皇に対して強い尊崇の念を抱いており、明治天皇の御誕生日である11月3日を祝日とするよう大規模な請願活動を主導したことで知られている。その甲斐あって、この日は昭和2年から「明治節」とされた。(敗戦後の昭和23年からは「文化の日」と称されるようになったが、残されただけでも良しとすべきであろう。)

このような先人の遺志を受け継いで、国柱会の方々は毎月第1日曜日に桃山御陵への参拝を続けてこられた。また、毎年11月3日には、他の団体と共に「桃山御陵参拝団」を結成しておられる。一昨年から東京で開催されるようになった「明治節を奉祝するつどひ」と共に、より一層の発展を望みたい。

午前10時に近鉄京都線桃山御陵前に集合。車に分乗して御陵の入り口に向かい、まづは明治天皇御陵に参拝。最敬礼から始まり、国歌斉唱に引き続いて、明治天皇の御製「末ついにならざらめやは国のため民のためにとわがおもふこと」を奉唱し、最後に再び最敬礼。

続いて、昭憲皇太后御陵にも参拝。やはり最敬礼から始まり、国歌斉唱に引き続いて、今度は昭憲皇太后の御歌「みがかずば玉の光はいでざらむ人も心もかくこそあるらし」を奉唱し、最後に再び最敬礼。

小雨の降り続く中、警備員詰所の軒先に入り。『国体文化』執筆者で、「御製拝読」というブログも運営されている竹中正安氏の臨場講話。冒頭に掲げた明治天皇の御製を取り上げた氏は、「はらから」というのは兄弟と言う意味だが、単に同時代的な横の繋がりというだけでなく、世代を超えた縦の繋がりを意味しているのではないかと指摘された。また、「はらから」どうしとして仲良くするのは当然のことだが、それは相手を怒らせないこととイコールではない。家族においても、「はらから」だからこそ時に厳しいことも言い、言われるではないかと述べられ、民主党の「友愛」政治を批判。それに関連して、外国人参政権問題についても言及された。

11時過ぎに解散となり、近くの支那料理店で竹中氏と昼食。最後は京阪伏見桃山駅まで送って頂く。

これを契機に、(毎月とは行かなくとも)出来るだけ一緒に参拝させて頂きたいと思う次第である。
| 雑感 | 16:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
私の「宿命」
JUGEMテーマ:政治思想
三島由紀夫の「英霊の声」を始めて読んだのは中学3年生の頃だったろうか。当時は文庫本に収められておらず、学校の図書館から全集を借り出してコピーした記憶がある。

それからというもの、世情に苛立つたび読み返し、「今、四海必ずしも波穏やかならねど」から始まるくだりを朗誦したものだった。ペルシャ湾岸では石油利権を巡って戦争が行われているにもかかわらず、日本国内はバブル景気に浮かれていた時期のことである。

当時はポストモダン思想の全盛期で、浅田彰やら柄谷行人が持て囃されていた。しかし、私の興味を全く引かなかった。彼らの著作を本格的に読んだのは大学に入ってからである。また、彼らの文章か、さもなくば進歩的知識人の文章ばかり取り上げられるので、現代文という教科も嫌いだった。そんな人間が、今や予備校で現代文を教えているのだから、何とも不思議な話である。

同級生の中にはロックバンドを組む者もあったが、何が楽しいのか分からなかった。反抗的なポーズをとりながらも、どこかで現代日本と馴れ合っているように見えたのである。

まだ酒の味も知らなぬ年頃のことだ。自分を取り巻く日常、ひいては現代日本の全てが疎ましかったのである。汽車に乗れば気は晴れるのだが、そうそう出掛けられるものでもなかった。

今でも、基本的な部分は何も変わっていない。この虚偽に満ちた世界を何としても打ち破り、あるべき姿へと作り替えたい。どうやら、これが私の「宿命」らしい。
| 雑感 | 14:03 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
文学も政治も…
JUGEMテーマ:政治思想
必要あって、小林秀雄の「様々なる意匠」を読み直した。これは昭和4(1929)年に書かれたもので、雑誌『改造』の懸賞論文で第2位となった。

小林は、当時の文壇における様々な潮流(=意匠)を冷静に見据えている。
私は、何物かを求めようとしてこれらの意匠を軽蔑しようとしたのでは決してない。たゞ一つの意匠をあまり信用し過ぎない為に、寧ろあらゆる意匠を信用しようと努めたに過ぎない。
一世を風靡していたマルクス主義文学理論(先述の懸賞論文で1位を獲得したのは「『敗北』の文学」を書いた宮本顕治)に対して、小林は批判的である。文学者の内面から沸き上がる目的意識を圧殺し、文学をプロレタリア革命という政治的目標のために奉仕させようとする発想に胡散臭さを感じていた。
目的がなければ生活の展開を規定するものがない。然し、目的を目指して進んでも目的は生活の把握であるから、目的は生活に帰って来る。芸術家にとつて目的意識とは、彼の創造の理論に外ならない。創造の理論とは彼の宿命の理論以外の何物でもない。そして、芸術家等が各自各様の宿命の理論に忠実である事を如何ともし難いのである。

もっともな意見ではあるけれども、少しばかり気になる部分がある。ここで云う「芸術」の中に「政治」は含まれないのだろうか。

端的に言えば、「政治」とは「敵」と「味方」に分かれて闘争を繰り返す行為である(妥協は闘争の一時休止状態に過ぎぬ)。だが、そうした闘争じたいに意味があるわけではない。互いに譲れぬ「世界観」があり、それを社会全体に波及させたいと思うからこそ闘争するのだ。言い換えれば、「政治」とは闘争を通じて「世界」を創造する行為であり、「芸術」の一形態と見なすことも可能であろう。

「政治」が「芸術」の一形態に過ぎぬのなら、両者の相克など存在するはずがない。「文学か政治か」ではなく、「文学も政治も」である。問題となるのは、創造行為の根底にあるもの、小林の言葉を借りるならば「宿命の理論」だ。

昭和初期のマルクス主義者は、自らの「宿命」に対する認識を欠いた上滑りな議論(そもそも、そう簡単にプロレタリア革命など成就するわけがない!)を展開していたようにみえる。いわゆる「転向」の問題も、それとの絡みで考えなければなるまい。

もちろん、それは現代日本で政治運動を展開する者たち全てに突き付けられた課題でもあるが、この点については別稿に譲りたい。

| 雑感 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
弁慶における虚実の間
JUGEMテーマ:歴史
春めいた陽気の中、久方ぶりに能の稽古に行った。

『橋弁慶』の鸚鵡(おうむ)返しをしてもらう。鸚鵡返しとは、師匠が一節ずつ謡ったものを真似して繰り返すこと。要するに「口伝え」である。ちょうど場面は、弁慶と牛若丸が五条の橋で決闘するところ。
あら物々しやあれ程の。小性一人をさればとて。手なみにいかでもらすべきと。長刀柄長く追つとりのべて。走りかゝつてちょうど切れば。背けて右に飛びちがふ取り直して裾をなぎ払へば。躍り上つて足もためず。宙を払へば頭を地につけ千々に戦ふ大長刀。打ち落とされて力なく。組まんとすれば切り払ふすがらんとするに便りなし。せん方なくて弁慶は。稀代なる小人かなとて。あきれ果てゝぞ立つたりける。

一般的には、道行く人々から刀を奪っていた弁慶を義経が懲らしめたのが機縁とされているけれども、この謡曲では、道行く人々を夜陰に紛れて脅かしていた「化生の者」(=実は牛若丸)を弁慶が退治しに行くということになっている。

さて、いずれが本当のことを伝えているのか。実際には、どちらとも言えぬのだ。義経に武蔵坊弁慶という従者が居たことは『吾妻鏡』にも記されているものの、その実像は全くと言ってよいほど分からない。熊野別当が貴人の姫君に産ませた子供だという生い立ちも、先に述べた五条大橋の決闘も、安宅関における名場面も、そして立ったまま討死したことも、全てフィクションかもしれぬ。

しかしながら、『義経記』を始めとする文学作品において、これらのエピソードは重要な意味を持っている。また、先に述べた『橋弁慶』や歌舞伎の『勧進帳』など、そこからインスパイアされて生まれた作品も少なくない。その上、これらの作品によって「最強の男・弁慶」というイメージが培われ、「弁慶の泣き所」という言葉さえある。

いったい、「歴史を書く」とは如何なる営為なのだろうか。歴史学も人文科学の一つである以上、史実を精確に見定めることは必須であるが、それだけではダメであろう。私としても、何か読み手の心に訴えかけるような、文学的香気の漂う歴史叙述を心がけたい。

| 雑感 | 19:10 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
「趣味」における品格
JUGEMテーマ:鉄道
来る3月13日にJRグループのダイヤ改正が行われる。乗客の需要を見極めて、限りある経営資源を有効に活用することは事業者として当然のことだ。その中で、乗客数が減ったり、車両が老朽化して廃止される列車が出てくるのはやむを得ない。今度のダイヤ改正では、上野と金沢とを結ぶ特急「北陸」急行「能登」という2本の夜行列車などが廃止される。

需要が少なければ当然のことながら運行本数も少なく、鉄道趣味的には希少価値の高い列車というわけだ。希少価値が高ければ、所有したくなるのは人情だろう。けれども、鉄道は公共財であるから私有することは不可能だ。そこで、写真に収めたり、実際に乗車したりということになる。私も、3月上旬に北陸本線経由で東京に出る計画を立て、「北陸」の寝台券を確保しようとしたが売り切れだった。

一昨日、東京から友人のH氏が来たので昼前に大阪で待ち合わせた。いわゆる「撮り鉄」の彼は、わざわざ上り「能登」に乗るべく、大阪経由で金沢入りするとのこと。新大阪駅前のビジネスホテルに1泊し、朝から撮影に励んでいたという。

大阪駅近くの「きしめん あまの」で昼食。ここの味噌煮込みうどんは絶品だ。きしめんも旨い。名古屋の味が大阪で楽しめるので重宝している。食事をしながら、鉄道談義と政治談義。その中で、一部の「撮り鉄」が線路内に立ち入って関西本線の列車を止めた事件などが話題となる。

「趣味」というものは極めて私的な領域で、その面白さを共有しない人間から見ると下らないものだ。私は国内の全鉄道路線(昨年12月に開業した富山市のセントラムを除く)に乗車したことがあるけれども、鉄道に乗ることを目的にするなど本末転倒としか言いようがない。自分でも馬鹿げていると思う。しかし、だからこそ、内田百間宮脇俊三の如く、「粋」に楽しみたいものだ。如何にもオタクですと思われるのは御免であるし、世間に迷惑を掛けるなどナンセンス極まりない。

大阪駅に戻り、特急「雷鳥23号」で金沢に向かうH氏とホームで立ち話。H氏の「鉄仲間」であるという大阪在住のM氏が見送りに来る。この列車に使用されている485系も来年の春いっぱいで廃車になるとのこと。M氏に見送られ13時12分に大阪駅を発車。私は、京都駅までH氏に付き合う。国鉄時代から使われている同形式には何とも言えぬ懐かしさを感じるが、一般の利用客からすると「古びて設備の劣った車両」ということになるのか。

京都駅には13時39分着。自宅近くの床屋で1ヶ月半ぶりに散髪。理容師の1人と雑談していたら、彼も無類の鉄道好きであることが判明。私が取れなかった「北陸」の寝台券(それもA寝台個室)を確保して、乗ってきたばかりだという。まったく羨ましい限り。
| 雑感 | 12:35 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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